ぶっ壊れた 43条2項2号 通路 新潟市不動産
不動産会社と依頼者。
その前に、人間対人間であるはず。
新潟市秋葉区の『23年間放置した空き家』の案件の話です。
その土地の前面は通路になっていて、建築基準法の道路ではありません。
幅は約3m位で、軽自動車がギリギリ通れる通路です。
建築基準法の道路ではない『通路』43条2項2号
建築物の敷地は、建築基準法第42条で定義される道路(原則として幅員4メートル以上のものをいう)に、間口2メートル以上で接していなければなりません。 これを接道義務といいます(建築基準法第43条)
「通路を通って新潟市道に出る土地は、どうしたら建築できますか?」
新潟市建築行政課に確認しました。
建築基準法の道路以外の通路を通る土地に家を建てるには、3つの方法があるという事です。
↓↓↓
①通路を公道にしてもらうための申請をする
②接道している土地を買って接道させる
③通路を持っている全員の許可を貰い、通路から幅4m以上の公道に接道させる
今回、③のケースの相談を引き受けました。
やっと解放される
2023.9月 H様という方から相談を受けました。
「新潟市秋葉区の土地を23年前に相続したが手放したい」との事です。
詳細はこうです。
・役所に行っても、不動産会社の一覧を渡されただけ
・どこの不動産会社に電話しても良い返事はもらえない
・東京に住む兄と2人名義で23年前に相続した
・管理に疲れたから手放したい
・前面は建築基準法の道路ではない(43条2項2号の通路)
・この通路は軽自動車がギリギリ通れる幅員
・建築基準法の道路(市道)に出るまでの通路の権利を持っていない
↓↓↓
43条2項2号の権利を持っていないから、権利を売ってくれる人を見つけてほしい
という相談です。
ちなみに、建築確認申請には、通路の持分がないとか、あるとかは関係ないとの事です。
ただ、心情的に持ちたいと思うものかもしれません。
解体するにも、建築するにも、権利を持っている6名の「通路の使用承諾」をもらいやすい。
持っていなければ、「通路の使用許可」をもらいにくい。
今後の為に、経験してみようと思い、引き受けました。
ただ、相談者H様の希望は全部は叶う可能性は低いでしょう。
23年間も放置した空き家。
面倒な事は、つい後回しにしてしまいますよね(-_-;)
行政にも不動産屋にも話を聞いてもらえなくて、ストレスだったでしょう。
「やっと話を聞いてもらえた、やっと解放される」
と、ホッとしていらっしゃいました。
通路の所有者に会いに行く
通路の権利を売ってもらうために動きました。
登記簿に載っている6人に会いに行きました。
6人のうち5人に会えました。
権利を売ってくれる人を見つけました。
依頼された事、ここまで。
・・・大成功でした。
行ったら空き家でした・・・
だた1人には、会えませんでした。
E様としますね。
E様の家に行くと「空き家」でした。
近所の人にE様がどうしているか聞きましたが「わからない」。
ならばと、手紙を書きましたが、戻ってきました。
一般の方への売却は難しい
相談者H様から、
権利を買ったら、売却したい。
解体代が払えるくらいの金額で売りたいとの事です。
解体代金・・・(-_-;)
難しい・・・
通路に解体車両が入らないので、解体は手作業になります。
350万円位???
正直、一般の方への売買は、とても面倒です。
なにが面倒かというと・・・
注1:建築できるかもしれないしできないかもしれない
土地を買う人は、ほとんどが家を建てるという目的で買います。
『一度許可を受ければ将来も建築できるという訳ではなく、建築の度に建築審査会の許可を得なければならない』
『結論はあくまでも建築審査会に提出しないとわからない』
建築できるかどうかも「わからない」秋葉区の土地を350万円で買う人がいるか?
資材置き場にする土地だとして350万円で買う人がいるか?
買う人が見えてこない・・・
注2:会えないE様
E様の承諾がもらえないなら、E様の親族なり代理人に承諾をもらわないと話しが進まない。
頑張れは「代理人」に、たどり着く日は来るかもしれません。
しかし、来ないかもしれません。
リスクが大きすぎる。
これは、大変な労力です。
仲介は、成果報酬です。
仮に希望の350万円で売れたところで報酬は16万円です。
その他、広告費、人件費、諸々。
不動産屋が、手を出したくない理由はここですよね。
新潟市に行政書士・司法書士・税理士さんがやっている不動産会社があります。
その不動産会社さん、普通の不動産会社が手を出したくない案件、結構やってるんです。
ホームページ見ると、
「あの物件扱ってるんだ(@_@;)」
と。すごいな。尊敬します。
移動だけでも、1時間半はかかる場所とか、接道問題の物件とか。
でも、ずっと掲載されているという事は売れていないという事。
一般の方への売却は難しい。
提案「隣地の人に買ってもらうのが一番スマートです
隣地の人が買うのが、一番スマートでリスクも少ない。
隣地の人に、交渉しました。
隣地の人は、解体代金には到底届かない金額でしたが、買っていいと言ってくれました。
後は、相談者H様のご判断です。
※安くても隣地の人に買ってもらって手放す
又は、
※市場に出す
不動産で困っている人はたくさんいます
このH様のように、前面道路の問題で悩まれている方は、本当に多いです。
一括査定サイトに登録しても、接道していない土地は、不動産会社から除外申請されます。
手間ばかりかかり、お金にならないからです。
令和5年4月27日から『相続土地国庫帰属制度』がスタートしました。
「建物付きの土地」は、この制度を申請することができません。
解体費用がかかるからです。
現在(10月末)申請された土地の数は1000件以上だそうです。
そして、申請が通った土地は1件のみとの話です。
富山県の宅地だそうです。
※10月28日の不動産保証協会の法定研修にて
東京の不動産屋ならぱぱっと売れるって
依頼された事だけやってお終いにすれば良かった。
東京の義理の姉が不動産経験を持っていて、直接話をしてほしいと依頼者H様。
「とても気が強い人だから、嫌な思いすると思いますが。」
と電話がありました。
電話をすると、東京の義理の姉という方。
自分の事、何一つ名乗る事なく事情聴取は始まりました。
「あなたのお名前は?」
「会社名は?」
「何年やってんの?」
「お宅の得意分野は?」
半笑いでバカにした口調。
「さっさとやればいいのよ。」
「東京の不動産屋なら、43条道路はすぐに売れるって言ってましたよ。」
「東京の不動産屋なら、そうゆうのパパっとやるんだって言ってましたよ。」
東京の不動産屋、東京の不動産屋、東京の不動産屋・・・
23年間、誰も欲しがらなかった土地なのに???
不動産を知っていると言うのであれば、この手間、わかってくれるはずです。
引き受ける不動産屋が少ない事だって、わかるはずです。
「だから新潟の不動産屋は!」
この一言ですーっと気持ちが引きました。
不動産会社と依頼者。
その前に、人間対人間であるはず。
不動産売却の売主様と私たち不動産仲介業者は目指すところは一緒です。
少しでも早く、高く、売りたいという同じ思いです。
一緒に売却を成功させるパートナーにならなければ成立しないと思います。
この時点で、関係は破綻しています。
手を引かせていただきました。
・・・悔しくて、飲まなきゃやってられない時だってあります( ;∀;)
あまりにも横柄な方とは無理して付き合いません。
心が減るから。
新潟市の不動産は
古くて、新しくて、ちょっとダサい不動産屋を目指している
にいがたの不動産㈱地産地消の中村利恵です。
不動産売買仲介の仕事のなかで、「思って」「行動して」「経験した」事を日記代わりに書いています。
忘れないように。忘れてしまったら思い出せるように。次に活かせるように。
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