
【不動産売買】「私道負担あり」は避けるべき?後悔しないための全知識とチェックリスト

新潟の不動産売買専門店「にいがたの不動産」の富澤です!
これからマイホームを購入しようと物件を探しているとき、あるいは、所有している不動産の売却を考えているとき、物件情報に記載された「私道負担あり」という一文が気になったことはありませんか?
「私道って、なんとなく面倒なことが多そう…」
「公道に面した土地じゃないと、価値が低いんじゃないの?」
多くの方が、この「私道」という言葉に、漠然とした不安やネガティブなイメージを抱くのではないでしょうか。
確かに、私道に面した不動産は、公道に面したものとは異なる注意点がいくつか存在します。
しかし、その特性を正しく理解し、メリットとデメリットを天秤にかければ、私道に面した物件が、あなたのライフスタイルにとって最高の選択となる可能性も十分にあります。
逆に、知識がないまま契約してしまうと、「こんなはずじゃなかった…」と後悔する大きな原因にもなりかねません。
この記事では、不動産の購入を検討している方、そして売却を考えている方の両方の視点から、「私道負担」の全てを徹底的に、そして分かりやすく解説します。
最後まで読めば、私道に対する漠然とした不安は消え、自信を持って物件を判断できるようになるはずです。
【基本のキ】そもそも「私道」とは?公道との違い

◆所有者が「国・自治体」か「個人・法人」か
まず、根本的な違いから理解しましょう。
公道(こうどう):
国や都道府県、市区町村といった地方公共団体が所有・管理している道路です。
国道や県道、市道などがこれにあたります。道路の舗装や補修、側溝の清掃などは、すべて行政が税金で行ってくれます。
私道(しどう):
文字通り、個人や法人が所有・管理している道路です。
そのため、道路の維持管理は所有者が自己責任・自己負担で行う必要があります。
◆「私道負担あり」が意味する2つのケース
不動産情報で「私道負担あり」と記載されている場合、主に以下の2つのケースが考えられます。
1. 敷地の一部が私道になっているケース:
購入する土地(敷地)の中に、道路として使われている部分が含まれている状態です。
例えば、角地で隅切り部分が私道扱いになっている場合などです。
2. 敷地とは別に私道の共有持分を持つケース:
こちらが一般的なパターンです。
複数の家が利用する一本の私道があり、その道路の土地を、利用する家の所有者全員で共有している状態です。
この場合、土地の登記簿とは別に、私道の登記簿が存在し、そこに「持分 ◯分の1」といった形で権利が記載されます。
◆注意!「私道=再建築不可」ではない
「私道にしか接していない土地は、家を建て替えられないのでは?」と心配される方がいますが、これは誤解です。
建築基準法では、家を建てる敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければならないと定められています(接道義務)。
重要なのは、その私道が「建築基準法上の道路」として認められているかどうかです。
具体的には、特定行政庁から位置の指定を受けた「位置指定道路(建築基準法第42条1項5号)」などが代表例です。
私道であっても、この基準を満たしていれば、問題なく家の建築や建て替えが可能です。
ただし、中にはこの基準を満たさない「ただの通路」扱いの道も存在するため、購入前の確認は必須です。
【購入者向け】意外と快適?私道に面した土地のメリット

ネガティブなイメージが先行しがちな私道ですが、実は公道にはない魅力的なメリットも存在します。
◆メリット①:静かでプライバシー性の高い生活環境
私道の多くは、その先が行き止まり(袋小路)になっていたり、居住者しか利用しない構造になっていたりします。そのため、不特定多数の車や人が通り抜けることがほとんどありません。
排気ガスや騒音に悩まされることなく、静かで落ち着いた生活を送りたい方にとっては、大きな魅力となるでしょう。リビングのカーテンを開けたままでも、外からの視線が気になりにくいのも嬉しいポイントです。
◆メリット②:子どもやペットの安全性が高い
交通量が極めて少ないため、小さな子どもが道路に飛び出してしまうリスクを大幅に軽減できます。
家の前で子どもを遊ばせたり、ペットとのんびり散歩したりする際も、ひっきりなしに通る車を気にする必要がなく、安心感が高い環境と言えます。
◆メリット③:住民同士の良好なコミュニティ形成
道路という共有財産を一緒に管理していく必要があるため、自然とご近所付き合いが生まれます。
定期的な清掃活動や、修繕の話し合いなどを通じて、住民同士の連帯感が生まれやすい傾向があります。
良好なコミュニティが形成されていれば、防犯面でも心強く、日々の暮らしの中で助け合える関係を築けるかもしれません。
◆メリット④:固定資産税や土地価格が割安な傾向
私道負担がある土地は、利用に制約があるなどの理由から、近隣の公道に面した土地に比べて資産価値評価が低くなるのが一般的です。
その結果、土地の販売価格が割安に設定されていたり、毎年支払う固定資産税が安くなったりするケースが多く見られます。土地にかかる費用を抑え、その分、建物やインテリアにお金をかけたいと考える方にとっては、合理的な選択肢となり得ます。
【最重要】知らなきゃ損する!私道のデメリットと潜在リスク

メリットの一方で、私道には特有のデメリットやリスクが存在します。
これらを理解しておくことが、後悔しないための絶対条件です。
◆デメリット①:道路の維持・管理・補修の費用負担
これが最大のデメリットです。
私道は所有者の財産であるため、その維持管理は所有者が行わなければなりません。
〇アスファルトのひび割れ、陥没の補修
〇側溝や排水溝の清掃、修繕
〇私道内にある電柱や標識の管理
これらの費用は、原則として私道の共有者全員で、持分などに応じて負担することになります。
ある日突然、「道路が陥没したので、補修費用として◯万円負担してください」といった話が持ち上がる可能性があるのです。
◆デメリット②:私道所有者「全員の承諾」という高いハードル
私道に面した家で、以下のような工事を行う場合、私道を掘削する必要が出てきます。
〇上下水道管やガス管の新規引き込み、交換工事
〇家の建て替えに伴う配管工事
このような掘削工事を行う際には、原則として私道共有者全員から「掘削承諾書(同意書)」に署名・捺印をもらう必要があります。
もし、一人でも承諾してくれない人がいると、工事に着手できず、最悪の場合、家の建て替えができないといった事態に陥るリスクがあります。
◆デメリット③:通行や駐車をめぐる近隣トラブル
通行の権利:親族や友人の車、工事車両などの通行をめぐってトラブルになるケース。
駐車の問題:私道内に迷惑駐車をする人がいて、車の出し入れに支障が出るケース。
私道は個人の所有物であるため、所有者間のルールが曖昧だと、こうしたトラブルが発生しやすくなります。
◆デメリット④:住宅ローン審査への影響
金融機関によっては、私道負担のある物件を担保として評価する際に、公道に面した物件よりも評価を低く見積もることがあります。
担保価値が低いと判断されると、住宅ローンの審査が厳しくなったり、希望する融資額が減額されたりする可能性があります。
◆デメリット⑤:資産価値と売却の難易度
これまで見てきたようなデメリットやリスクがあるため、私道に面した不動産は、買主から敬遠される傾向があります。そのため、将来的に売却を考えた際に、公道に面した物件よりも売却価格が低くなったり、買い手が見つかるまでに時間がかかったりする可能性があります。
【決定版】私道負担物件で絶対に後悔しないためのチェックリスト7選

私道負担のある物件を検討する際は、契約前に必ず以下の点を確認しましょう。
不動産会社の担当者に質問し、必要な書類を見せてもらうことが重要です。
◆チェック1:私道の「所有形態」はどうなっているか?
共有者全員で均等に持分を持つ「共有型」か、特定の一人や法人が所有する「単有型」かを確認します。
最も一般的なのは「共有型」です。
◆チェック2:自分の「共有持分」は適正か?
共有の場合、自分の共有持分が何分の1になっているか、登記簿で確認します。
負担と権利のバランスが取れているかが重要です。
◆チェック3:維持管理に関する「ルール(規約)」は存在するか?
補修費用の負担割合や清掃の当番など、私道の維持管理に関する規約や覚書があるかを確認します。
ルールが明確であれば、将来のトラブルを未然に防げます。
◆チェック4:インフラ(水道・ガス管)の所有者と埋設状況
私道に埋設されている水道管やガス管が、自治体の所有(公管)か、個人や共有の所有(私管)かを確認します。
もし私管の場合、その修繕費用も自己負担となるため、リスクが高まります。
◆チェック5:「通行・掘削の承諾書」は取得できるか?
将来の建て替えやリフォームに備え、売買契約の前に、私道共有者全員から「通行・掘削の承諾書」を取得できるかを確認しましょう。これが取得済みであることが、売買の条件となっているケースも多いです。
◆チェック6:過去のトラブル履歴と現在の近隣関係
不動産会社の担当者や、可能であれば近隣住民に、過去に私道をめぐるトラブルがなかったか、現在の住民間の関係は良好か、ヒアリングしてみましょう。
◆チェック7:役所で「建築基準法上の道路」か確認する
市区町村役場の建築指導課などで、対象の私道が建築基準法上の道路に該当するかを必ず確認します。
これにより、再建築が可能かどうかを確定できます。
【売却者向け】私道に面した不動産をスムーズに売却する3つのコツ

① 問題点を整理し、買主の不安を先回りして解消する
買主が不安に思うであろう点(維持管理のルール、費用負担の実績など)を正直に、かつ明確に説明できるように資料を準備しましょう。誠実な対応が信頼に繋がります。
② 必要な「承諾書」を事前に準備しておく
売却活動を始める前に、隣接する所有者から「通行・掘削の承諾書」を取り付けておきましょう。
これが揃っているだけで、買主は安心して購入を決断でき、売却が格段にスムーズになります。
③ 私道案件の取り扱い経験が豊富な不動産会社を選ぶ
私道負担物件の売買には、専門的な知識と交渉のノウハウが必要です。
過去に同様の案件を扱った経験が豊富な不動産会社に仲介を依頼することが、成功への近道です。
まとめ:私道負担はリスクか、チャンスか?

「私道負担あり」の不動産は、確かに維持管理の費用や手間、近隣との合意形成など、公道に面した物件にはない特有のリスクを抱えています。
しかし、その一方で、価格の安さ、静かで安全なプライベート空間という、何物にも代えがたい大きなメリットも存在します。
重要なのは、デメリットというリスクを正確に把握し、そのリスクを上回るメリットが自分たちのライフスタイルにあるかどうかを冷静に見極めることです。
本記事のチェックリストを活用し、物件の状況を徹底的に調査すれば、私道に潜むリスクを管理可能なものに変えることができます。
一般的なイメージだけで判断せず、一つひとつの物件と真摯に向き合うこと。
それこそが、あなたにとっての「掘り出し物」を見つける、賢い不動産選びの鍵となるでしょう。
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