
【未来予測】少子化で資産価値が上がる町、下がる町。後悔しないための不動産立地選び「5つの新常識」
目次
はじめに:新潟の高校統合ニュースから見える、すぐそこにある未来
第1章:止まらない少子化と、静かに進む「地方の縮小」
1-1. 驚愕の数字が示す日本の少子化の現状
1-2. 学校が消える、バスが来なくなる、お店がなくなる
1-3. 子育て世代を直撃する「通学」という大きな壁
第2章:「地方の中の格差」が生まれる時代へ
2-1. 便利になる「中心地」と、取り残される「周辺部」
2-2. 人口移動が不動産価値を二極化させる
2-3. 「どこに住むか」が資産価値を大きく左右する
第3章:未来を見据えた不動産選び・立地選びの新常識
3-1. これまでの価値観だけでは通用しない「持続可能性」
3-2. 5つのチェックポイントで考える「未来も安心して住める場所」
① 教育:学校は統廃合リスクの低いエリアか?
② 医療:いざという時に頼れる病院はあるか?
③ 商業:日常の買い物が徒歩や自転車で完結するか?
④ 交通:公共交通網は維持される見込みがあるか?
⑤ 行政:自治体の「やる気」が見えるか?(立地適正化計画)
3-3. ハザードマップと合わせた多角的な視点の重要性
おわりに:未来を生き抜くための「住まい戦略」
はじめに:新潟の高校統合ニュースから見える、すぐそこにある未来
「新潟県内で県立高校8校を4校に再編・統合する」

先日、新潟日報で報じられたこのニュースに、心をざわつかせた方も多いのではないでしょうか。
母校の名前が含まれていた方もいらっしゃるかもしれません。
これは、単に学校が少なくなるという話ではありません。
長年、多くの人が「当たり前」だと思っていた日常が、静かに、しかし確実に変わり始めているというサインです。
加速する少子化の波は、私たちの暮らしの土台を静かに侵食しています。
特に地方においては、その影響はより深刻です。学校の統廃合は、その序章に過ぎません。
子どもたちの通学が困難になり、やがては「この地域では子育てが難しい」と考える家族が、より便利な中心地へと移り住む。
人が減れば、地域を支えてきた病院や商店、公共交通機関も維持できなくなります。
これは、遠い未来の話でも、どこか他人事でもありません。
今、私たちが住む場所、そしてこれから選ぶ場所が、将来の家族の生活の質、そして資産価値そのものを大きく左右する時代が到来しているのです。
本記事では、この「少子化」という大きな社会変動を軸に、これからの不動産選び、特に「立地選び」がいかに重要になるかというテーマを深掘りしていきたいと思います。
第1章:止まらない少子化と、静かに進む「地方の縮小」
1-1. 驚愕の数字が示す日本の少子化の現状
私たちが直面している少子化は、もはや「緩やか」という言葉では表現できないレベルに達しています。
2023年の合計特殊出生率は1.20と過去最低を更新し、出生数も72万人台と、統計開始以来、最も少なくなりました。
この数字は、国の存続に関わるほどのインパクトを持っています。
人口が減るということは、社会のあらゆるシステムを維持するための「担い手」が減ることを意味します。
税収は減り、社会保障制度は揺らぎ、経済規模も縮小していきます。
そして、その影響が最も早く、そして色濃く現れるのが「地方」なのです。
1-2. 学校が消える、バスが来なくなる、お店がなくなる
人口減少、特に若い世代の減少は、地域のインフラに直接的な打撃を与えます。
教育:今回の高校統合のように、まず子どもが少なくなれば学校の統廃合が進みます。
小中学校も例外ではありません。
選択肢が減るだけでなく、通学距離が長くなることで、子ども自身にも、送迎する親にも大きな負担がかかります。
医療・福祉:地域の産婦人科や小児科が閉院し、お産ができる場所が限られていく。
高齢者が頼りにしていた診療所がなくなり、総合病院まで車で1時間以上かかる。
介護サービスを受けたくても、ヘルパーが不足している。
そんな現実が、すでに多くの地域で起きています。
商業・交通:採算が合わなくなったスーパーや商店街がシャッターを下ろし、「買い物難民」という言葉が生まれます。
利用者の減少からバスの路線が廃止・減便され、車を運転できない高齢者や学生は移動手段を失います。
これらは連鎖的に起こります。
「学校がないから若い世代が来ない」→「人口が減り店が潰れる」→「ますます不便になり人が出ていく」という負のスパイラルに陥ってしまうのです。
1-3. 子育て世代を直撃する「通学」という大きな壁
特に子育て世代にとって、教育環境は住む場所を決める上で最も重要な要素の一つです。
今回の高校統合は、その重要性を改めて浮き彫りにしました。
統合によって、子どもによっては通学に1時間以上かかるケースも出てくるでしょう。
朝早く家を出て、夜遅く帰ってくる。部活動に参加する時間も限られてしまいます。
保護者にとっても、毎日の送迎や交通費の負担は決して軽くありません。
こうした状況が続けば、「子どもの教育のために、高校のある街へ引っ越そう」と考える世帯が増えるのは自然な流れです。
それはつまり、特定の地域から子育て世代がごっそりと流出してしまう可能性を示唆しています。
第2章:「地方の中の格差」が生まれる時代へ
2-1. 便利になる「中心地」と、取り残される「周辺部」
ここで注意すべきは、「地方」という言葉で一括りにできない、新たな格差が生まれつつあるという点です。
それは「地方の中の格差」、つまり、県庁所在地や地域の拠点となる都市の「中心部」と、そこから離れた「周辺部」との格差です。
国や自治体も、人口減少社会を見据えて「コンパクトシティ」という考え方を推進しています。
これは、居住エリアや都市機能を一定の範囲に集約させることで、インフラや行政サービスを効率的に提供しようという考え方です。
この政策が進むと、どうなるでしょうか。人々が集まる「中心部」では、病院や商業施設、公共交通機関が維持・強化され、むしろ利便性が向上する可能性があります。一方で、人が少なくなった「周辺部」は、行政サービスの対象から徐々に外れ、インフラの維持も困難になっていく、というシナリオが現実味を帯びてきます。
2-2. 人口移動が不動産価値を二極化させる
人の流れは、そのまま不動産の価値に直結します。
利便性の高い中心部には、家を求める人が集まり、需要が高まります。
その結果、土地や建物の資産価値は維持されやすい、あるいは上昇することもあるでしょう。
反対に、人口流出が続く周辺部では、家を売りたくても買い手がつかない「負動産」化が進むリスクが高まります。
「広々とした土地でのびのび暮らしたい」という夢も、将来的な不便さや資産価値の下落リスクと天秤にかける必要が出てくるのです。
すでに、同じ市内であっても、駅に近いエリアと郊外のエリアとで、地価の二極化がはっきりと現れている場所は少なくありません。
この傾向は、今後ますます加速していくと考えられます。
2-3. 「どこに住むか」が資産価値を大きく左右する
かつては「マイホームは一生の買い物」と言われ、一度購入したら永住するのが当たり前でした。
しかし、これからの時代は、ライフステージの変化や社会状況の変化に応じて住み替えることも視野に入れる必要があります。
その際に重要になるのが、その不動産の「資産価値」です。
将来、売却や賃貸に出す可能性を考えたとき、買い手や借り手が見つかりやすい場所、つまり「需要のある立地」を選んでおくことが、人生のリスクヘッジになるのです。
「安いから」という理由だけで郊外の物件に飛びつくことは、将来的に大きな負債を抱え込むことになりかねません。
第3章:未来を見据えた不動産選び・立地選びの新常識
3-1. これまでの価値観だけでは通用しない「持続可能性」
これからの不動産選びは、「広さ」「新しさ」「価格」といった従来の価値観に加え、「その場所での暮らしが、10年後、20年後も持続可能か?」という視点が不可欠になります。
自分の子どもが大人になる頃、あるいは自分がリタイアする頃、その街は、その場所は、どうなっているのか。
未来を想像する力が求められます。
3-2. 5つのチェックポイントで考える「未来も安心して住める場所」
では、具体的にどのような点に注目すれば良いのでしょうか。
ここでは、未来を見据えた立地選びのための5つのチェックポイントを提案します。
① 教育:学校は統廃合リスクの低いエリアか?
小中学校はもちろん、高校へのアクセスは非常に重要です。
自治体が公表している学校の適正配置計画などを確認し、将来にわたって存続する可能性が高いエリアを選ぶ視点が求められます。
複数の高校へアクセスしやすい立地は、子どもの選択肢を広げる意味でも価値が高いでしょう。
② 医療:いざという時に頼れる病院はあるか?
夜間や休日に対応してくれる救急病院や、専門的な治療が受けられる総合病院へのアクセスを確認しましょう。
また、かかりつけにしたい内科や小児科、歯科などが、無理なく通える範囲にあるかも日々の暮らしの安心感につながります。
③ 商業:日常の買い物が徒歩や自転車で完結するか?
スーパーやドラッグストア、コンビニ、金融機関などが徒歩圏内、あるいは自転車で気軽に行ける範囲に揃っているかは、日々の利便性を大きく左右します。
特に、将来車の運転が難しくなった時のことを想像してみてください。
コンパクトに生活が完結するエリアは、長く住み続ける上で非常に価値があります。
④ 交通:公共交通網は維持される見込みがあるか?
駅からの距離はもちろん、バスの路線や便数も重要なチェックポイントです。
利用者が多い主要路線沿いや、自治体がコミュニティバスなどで維持に力を入れているエリアは、将来も安心感が高いと言えるでしょう。
⑤ 行政:自治体の「やる気」が見えるか?(立地適正化計画)
これが最も重要なポイントかもしれません。
多くの自治体では、コンパクトシティ化を念頭に置いた「立地適正化計画」を策定・公表しています。
この計画の中では、人口や機能を誘導していく「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」が定められています。
この「誘導区域」に指定されているエリアは、今後も行政がある程度の投資を行い、インフラやサービスを維持していくと宣言している場所です。
言い換えれば、自治体による「お墨付き」のあるエリアなのです。
家を探す際には、必ずその自治体のウェブサイトなどで立地適正化計画を確認することをお勧めします。
3-3. ハザードマップと合わせた多角的な視点の重要性
忘れてはならないのが、自然災害リスクです。
いくら利便性が高くても、浸水や土砂災害のリスクが高い場所では安心して暮らせません。
自治体が公表しているハザードマップを必ず確認し、災害リスクの低い場所を選ぶことが大前提となります。
上記の5つのチェックポイントとハザードマップを重ね合わせることで、より安全で持続可能な立地を見つけることができるはずです。
おわりに:未来を生き抜くための「住まい戦略」
少子化と人口減少は、もはや避けることのできない、日本が向き合うべき現実です。それは時に、高校の統合といった、寂しさを伴うニュースとして私たちの前に現れます。
しかし、この大きな変化を悲観するだけではなく、未来を賢く生き抜くための「変化のサイン」として捉えることもできるはずです。
これから家を買う人、住み替えを考える人は、間違いなく時代の転換点に立っています。
「どこに住むか」という選択は、単なる住環境選びではありません。
家族の未来を守り、自身の資産を守るための、極めて重要な「戦略」です。
今回ご紹介した視点が、あなたがこれから住む場所を選び、豊かな未来を築いていくための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
未来を見据えた「住まい戦略」を、今こそ真剣に考えてみませんか。
