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不動産売買契約書の基礎知識|契約内容・必要書類・違約金のポイントを解説

不動産売買

長良 昴輝

筆者 長良 昴輝

不動産キャリア8年


不動産売買契約書の基礎知識|契約内容・必要書類・違約金のポイントを解説

 


「不動産売買契約書って何を書けばいいの?どこを確認すればいいの?」とお悩みではありませんか?

こんにちは。にいがたの不動産の長良です!


不動産売買は人生でそう何度も経験するものではないため、契約書の内容や注意点がわかりにくいですよね。特に、高額な取引だからこそ、リスクを避けるために慎重になりたいものです。

この記事では、不動産売買契約書の基本から作成の流れ、チェックすべきポイント、そして電子契約の活用方法まで、わかりやすく解説します。


読んでいただければ、契約時の不安を解消し、安全でスムーズな不動産取引を実現するためのヒントが得られるでしょう。




 

不動産売買契約書とは?基本を押さえよう



不動産売買契約書の役割とは?

不動産売買契約書は、売主と買主が不動産を売買する際に合意内容を明文化する重要な書類です。契約条件や取引内容を明確にすることで、後々のトラブルを防ぎます。

不動産は高額な取引であり、口約束だけでは条件の食い違いが生じることがあります。契約書を作成し、双方が内容を確認・同意することで、後のトラブルを防ぎます。


例えば、「引き渡しの期日を守る」「ローン審査が通らなかった場合の対応」など、売主と買主がトラブルになりやすいポイントが契約書に明記されていることで、スムーズな取引が可能になります。

契約書を交わす際は、内容を十分に理解し、不明点があれば専門家に相談するのがベストです。

 

どんな取引で不動産売買契約書が必要なのか

不動産売買契約書は、個人や法人が不動産を売買する際に必要となります。仲介業者を利用する場合も、直接取引をする場合も、トラブルを防ぐために作成が必須です。

売買の条件が口約束では法的拘束力を持たず、証拠が残らないため、売主・買主双方の権利を守るために契約書の作成が求められます。

マンションの売買、戸建ての売買、土地の売買、収益物件の売買など、すべての不動産取引で契約書が必要になります。個人間の直接売買でも、きちんとした契約書を作成しないと、後に所有権移転や違約金の問題が発生する可能性があります。

不動産の売買を検討している場合は、契約の流れを把握し、事前に契約書の内容を確認することが重要です。

 

不動産売買契約書を作成するのは誰?(売主・買主・不動産会社・士業)

一般的に不動産売買契約書は、仲介を行う不動産会社が作成します。ただし、個人間取引の場合は売主または買主が作成し、場合によっては司法書士や弁護士がサポートすることもあります。

不動産会社が介在する取引では、業者が契約書を準備し、重要事項説明を行います。しかし、個人間での取引では、売主・買主が協議しながら契約書を作成する必要があります。専門的な知識が求められるため、士業のサポートを受けるのが一般的です。


  • ✅不動産会社を利用する場合:仲介業者が契約書を用意し、売主・買主が内容を確認した上で署名・捺印を行います。
  • ✅個人間の売買の場合:売主または買主が契約書を作成し、トラブル回避のために弁護士や司法書士に確認を依頼することが一般的です。

取引の規模や内容に応じて、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

 



不動産売買契約書の記載内容と重要ポイント



不動産売買契約書の基本構成と主な記載事項

不動産売買契約書には、取引の詳細が記載され、売主・買主の権利や義務を明確にします。内容を正しく理解することが大切です。

契約内容が不明瞭だと、後で条件を巡るトラブルが発生する可能性があります。契約書の主な項目を押さえることで、安心して取引を進めることができます。


契約書に記載される主な内容は以下の通りです。

  • ✅売買の当事者:売主・買主の情報
  • ✅物件の詳細情報:住所、登記簿上の情報、面積など
  • ✅売買代金と支払い条件:総額、支払いスケジュール
  • ✅引き渡しと所有権移転:日程や条件
  • ✅契約解除と違約金の条件:契約不履行時の対応
  • ✅契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任):物件に問題があった場合の対処方法
  • ✅公租公課の精算:固定資産税・都市計画税の精算
  • ✅手付金に関する取り決め:手付金の額と支払い時期
  • ✅ローン特約(住宅ローン利用時):ローン審査が通らなかった場合の契約解除の可否
  • ✅付帯設備の状況と確認事項:設備の有無など
  • ✅物件の現況と引き渡し時の状態:建物・土地の現況など
  • ✅土地の測量・境界確認について:境界杭の有無やトラブル時の対応
  • ✅反社会的勢力の排除条項:万一関与が発覚した場合の契約解除の条件
  • ✅物件に関する特約事項:土地の地盤調査や液状化リスクの確認など

 

契約内容に不明点がある場合は、不動産会社や専門家に相談し、納得した上で契約を締結することが重要です。

 

不動産売買契約書の「ここをチェック!」重要確認ポイント

契約書を締結する前に、特に確認すべきポイントを把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

契約締結後に内容を変更するのは難しく、不利な条件を見落とすと損失を被る可能性があります。慎重にチェックすることが重要です。


  • ✅物件情報の正確性:記載ミスがないか確認
  • ✅売買代金と支払いスケジュール:支払いのタイミングが問題ないか
  • ✅引き渡し時期と条件:引き渡し日を明確にする
  • ✅重要事項説明書との整合性:契約書と矛盾がないかチェック
  • ✅契約解除時の条件:違約金や手付金の返還条件を確認

不明点があれば契約前に質問し、納得した上で署名・捺印を行いましょう。



不動産売買契約書の作成・締結の流れ



不動産売買契約書作成のステップ

不動産売買契約書は、売買の合意が成立した後に作成し、署名・捺印を経て正式に締結されます。契約手続きの流れを把握しておくことで、スムーズに売買を進められます。

契約締結の手順を理解していないと、必要な書類の準備が間に合わなかったり、契約当日にトラブルが発生する可能性があります。特に、重要事項説明や契約解除条件の確認が不十分だと、後で問題が生じやすくなります。


不動産売買契約書の作成と締結の一般的なステップ

  1. ✅契約条件の決定:売主と買主が価格、引き渡し条件、手付金額などを協議し合意する。
  2. ✅重要事項説明の実施:契約前に、宅地建物取引士が買主へ物件や契約内容を説明する。
  3. ✅契約書の確認:不動産会社が契約書を作成し、売主・買主が内容を確認する。
  4. ✅手付金の支払いと契約締結:契約書に署名・捺印し、手付金を支払う。
  5. ✅引き渡し・登記手続き:決済後、物件の引き渡しと所有権移転登記を行う。

 

契約締結前に、不動産会社や専門家と相談しながら契約内容を十分に確認しましょう。特に、支払いスケジュールや契約解除条件に注意を払うことが重要です。

 

不動産売買契約書に必要な書類

契約締結の際には、売主・買主ともに必要な書類を準備する必要があります。不足すると手続きが遅れる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

不動産の売買には、身分証明や物件に関する公的書類が必要になります。売主・買主がそれぞれ準備すべき書類が異なるため、早めに準備を進めることが大切です。


【売主が用意する書類】

  • ✅身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • ✅印鑑証明書(契約書への押印とセットで必要)
  • ✅登記簿謄本(物件の所有権を証明)
  • ✅固定資産税納税通知書(税金の精算に使用)
  • ✅権利証または登記識別情報通知
  • ✅測量図・境界確認書
  • ✅建築確認済証・検査済証(該当する場合)
  • ✅住宅ローンの完済証明書(該当する場合)
  • ✅固定資産評価証明書
  • ✅境界確認書・隣地承諾書
  • ✅設備表・物件状況報告書

【買主が用意する書類】

  • ✅身分証明書(運転免許証・パスポートなど)
  • ✅印鑑証明書(住宅ローンを組む場合に必要)
  • ✅収入証明書(ローン審査用、源泉徴収票など)
  • ✅住民票(登記申請用)
  • ✅実印(住宅ローン契約時)
  • ✅銀行口座情報(支払い手続き用)
  • ✅印紙(契約書に貼付するため)

売買契約日までに必要書類をそろえ、記載内容が正確かどうか事前にチェックしましょう。不動産会社や金融機関と事前に確認するとスムーズに進められます。

 

不動産売買契約書を交わす際の注意点

契約書を交わす際には、契約の効力や税金の負担、署名・捺印のルールを正しく理解することが大切です。

契約後に「知らなかった」では済まされない重要なポイントがいくつかあります。契約方法や税金、捺印のルールを知らないと、余計な出費やトラブルに発展する可能性があります。


  • ✅口頭契約と書面契約の違い:不動産売買は口約束ではなく、書面での契約が必要。
  • ✅収入印紙の貼付と印紙税:契約書には売買価格に応じた印紙を貼付しなければならない。2027331日までは軽減税率が適用。
  • ✅署名・捺印の重要性:契約書は署名・捺印がなければ法的効力を持たない。

 

契約書を交わす前に、税金の負担や署名・捺印のルールを確認し、不明点があれば専門家に相談しましょう。


 

不動産売買契約書に関するトラブル事例と対処法




契約解除時の注意点と違約金のルール

不動産売買契約では、契約解除の条件や違約金のルールを理解しておくことが重要です。

契約締結後に売主・買主どちらかが契約を解除する場合、違約金が発生することが多く、条件を知らないと予想外の出費につながります。

  • ✅売主が契約を解除する場合:通常、受け取った手付金の倍額を買主に支払う必要がある。
  • ✅買主が契約を解除する場合:支払った手付金を放棄することで解除可能。

契約時に解除条件を確認し、違約金の発生要件をしっかり把握しておきましょう。

 

重要事項説明と契約内容の不一致トラブル

契約書と重要事項説明書の内容が一致しているかを必ず確認しましょう。

重要事項説明で聞いた内容と契約書の記載が違っていると、後々のトラブルにつながる可能性があります。

  • 契約書では「引き渡し時にリフォーム済み」と書かれていたが、実際には未対応だったなど

 

契約書と重要事項説明書をよく見比べ、不明点は契約前に質問しましょう。


契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)のトラブルと対策

契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して補償や対応をする義務のことです。20204月の民法改正で瑕疵担保責任が廃止され、契約不適合責任が適用されるようになりました。

売買契約書に契約不適合責任の条項を明記しておかないと、物件に欠陥や問題があった場合に、売主・買主のどちらが責任を負うかでトラブルになる可能性があります。


  • ケース1:雨漏りの発覚
    売買契約時には雨漏りの事実がなかったが、引き渡し後に発覚。売主が契約不適合責任を負い、修繕費を負担することになった。
  • ケース2:設備の故障
    契約書に「エアコン付き」と記載があったにも関わらず、引き渡し後に故障が判明。買主が修理費用を求めたが、契約書に明確な記載がなかったためトラブルになった。

 

契約不適合責任に関する条項を契約書に明記し、具体的な補償範囲や期限を決めておきましょう。例えば、「契約後3カ月以内に発覚した場合は売主が修繕費用を負担する」などの特約を付けることで、トラブルを防ぐことができます。

 

売買契約後のキャンセルは可能か?

不動産売買契約は、一度締結すると簡単にはキャンセルできません。ただし、契約書に定められた解除条件を満たしていれば、一定の条件のもとでキャンセルすることが可能です。

不動産売買は高額な取引であり、売主・買主の双方に大きな影響を及ぼします。そのため、契約解除には一定の条件や違約金が発生します。


  • 手付解除
    買主がキャンセルする場合は、支払った手付金を放棄し、売主がキャンセルする場合は手付金の倍額を買主に支払うことで契約を解除できる。

  • ローン特約による解除
    買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合、契約を解除できる(契約書にローン特約がある場合)。

  • 契約不履行による解除
    期日までに売買代金を支払わないなど、契約違反があった場合に解除が可能。

 

契約をキャンセルする可能性がある場合は、契約書の解除条件を事前に確認し、手付解除やローン特約を活用できるかどうかを確認しましょう。



電子契約で不動産売買契約書を交わすことは可能?




不動産売買契約書の電子契約は法的に有効?

電子契約は法的に認められており、不動産売買契約書も電子署名を利用することで、紙の契約書と同じ効力を持ちます。

20225月に宅地建物取引業法が改正され、不動産売買契約書の電子契約が正式に認められました。これにより、紙の契約書を用意せずにオンラインで契約を締結することが可能になりました。


  • 電子契約の導入事例
    近年、大手不動産会社では電子契約を導入し、遠隔地でもスムーズに契約手続きを行えるようになっている。

  • 電子契約の有効性
    電子署名法に基づき、電子署名が付された契約書は、紙の契約書と同じ法的効力を持つ。

 

電子契約を利用することで、契約手続きを効率化し、コスト削減につなげることができます。

 

電子契約のメリット・デメリット

✅メリット

  • 印紙税が不要
    紙の契約書では印紙税が発生するが、電子契約では不要。
  • 手続きが迅速
    遠隔地でも即座に契約を締結できる。
  • 契約管理が容易
    電子データとして保管でき、紛失のリスクがない。

✅デメリット

  • 電子契約に対応していない取引先もある
  • システム導入に費用がかかる


Q&A|不動産売買契約書のよくある質問



Q不動産売買契約書がない場合、契約は成立する?

不動産売買契約は、口頭でも成立しますが、法的リスクを避けるために必ず書面を交わすべきです。


Q契約書の写しは必要?

契約後、売主・買主ともに契約書の写しを保管しておくことが重要です。


Q契約時に手付金を支払わないといけないのか?

契約内容によって異なりますが、契約手付金は一般的です。


Q買主・売主のどちらが契約書を作成するのか?

通常、不動産会社が作成しますが、個人間取引では売主が用意することが多いです。


Q不動産会社を通さない個人間の契約で注意すべきことは?

契約書の作成や法的なリスクを避けるため、司法書士や弁護士に確認を依頼するのが安心です。



 

まとめ



不動産売買契約書は、売主・買主の権利を守るために不可欠な書類です。契約内容を正しく理解し、リスクを回避しながら取引を進めることが重要です。

特に、契約解除条件や違約金の規定、契約不適合責任の範囲をしっかり確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

不明点があれば専門家に相談し、安全な契約を心がけましょう。



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